この記事の要点
(1)100度以下の熱は今までは再利用されず、「廃熱」と呼ばれていた。
(2)ハスクレイという物質で「廃熱」を再利用のために保存ができるようになった。
(2)国立の研究施設「産総研」がこれを開発した。
「ハスクレイ」とは?
どうも、HIMEC(ハイメック)のサイエンスの時間です。
今日はとても画期的な材料をご紹介します。
夏に出た熱を貯めておいて、冬に使えるという、熱を蓄えておける材料のお話です。
産総研が開発した「ハスクレイ」という材料です。
ネーミングの由来
HAS+CLAY(粘土)=HASCLAY
ハスクレイは、非晶質アルミニウムケイ酸塩(HAS:Hydroxyl Aluminum Silicate)と低結晶性粘土(Clay)からなる複合体の無機系吸着材で、ゼオライトやシリカゲル(A型)の約3倍の水蒸気吸着量を有し、100℃以下の低温でも再生が可能な高性能吸着材です。
見た目はちょっと、ペレットに似てますよね。というのはHIMECは木材加工機械を長年製造してますから、すぐにペレットと連想しちゃうのです。工場にはこういうペレットがたくさん出ます。トン袋に詰められて保管して、必要な企業にも販売したりします。ペレットは火力発電の燃料としても活躍しています。
写真:日高機械エンジニアリング株式会社提供
「ハスクレイ」は熱の電池!
冒頭のYoutube動画の説明欄の文章を引用します:
熱を蓄えておき、いつでも好きな時に、どこでも好きな場所で熱を放出することができます。 まさに、熱をタイムスリップさせることのできる新材料なのです。
使うときは、息を吹きかけると、熱くなります。まさに「息を吹き返す」材料です。
普通、熱が発生したら、すぐに使わないと、空気中に発散してしまいますよね。
熱を電気に変えるなら、再利用はできます。(いわゆる発電じゃないか・・・)
熱を熱のまま保存して、使うときに熱として取り出すというのは、新しいらしいです。
わかりやすく言うなら、「熱の電池」みたいな感じでしょうか。
いや、電気じゃなくて熱ですから、「熱池」(ねっち)とも呼ぶべきでしょうか!?
ハスクレイの用途
これはさまざまですが、動画の実験では、工場の熱を、
(1)浴場のお湯を温めること
(2)温水プールを温めること
(3)暖房施設
などに使っていましたね。
これはこれはとても便利ですね!
開発した「産総研」ってどんな団体?
フルネームは「国立研究開発法人産業技術総合研究所」
お国が作った研究所なんですね!
国立研究開発法人産業技術総合研究所は、我が国最大級の公的研究機関として日本の産業や社会に役立つ技術の創出とその実用化や、革新的な技術シーズを事業化に繋げるための「橋渡し」機能に注力しています。「国立研究開発法人産業技術総合研究所」ウェブサイトより
「ハスクレイ」に思いを馳せて
ハイメックの機械にも応用できそうなので、想像するだけでワクワクします!
ハイメックでは、害獣を高温菌で堆肥にする機械「コンテナ・コンポスト」を開発化しています。
これがたくさん熱を出すのですよ。ハスクレイとお友達になれるかもしれません。
高熱を生み出す高温菌
高温菌については詳しくはまたの機会に説明いたしますが。簡単に言うと、有機物を分解するときに高い熱を発する菌です。
これを農業に応用したのが、高温菌による堆肥化施設です。名古屋にあるハイメックのパートナー企業「吉良商店」の特許技術です。屋外の堆肥施設で有機物を分解させていますが、発生した熱はそのまま空気中に逃しています。
ハイメックはこの技術を捕獲した害獣を分解する機械に応用しています。当然熱は出ます。90度以上の熱が長時間出ます。この熱を加工の過程に再利用することはもちろん有効ですが、「ハスクレイ」に熱を溜めることもできるのではないかと思った次第でございます。
ハスクレイの2019年7月25月のプレスリリースによれば、
「100℃以下の廃熱を利用可能」
ということなので、「コンテナ・コンポスト」にはちょうどいいです!
「コンテナコンポスト」については下記の記事に詳しく紹介しておりますので、ご興味があればぜひ読んでみてください。
今回は以上となります。よかったらまたご覧くださいね。